南アルプス神宮川・ヤチキ沢

■地元で沢登り■

自宅から車で30分程の南アルプス神宮川・ヤチキ沢を遡行した。
神宮川はサントリー白洲蒸留所の脇を流れる川で、
以前は濁川と呼ばれていた。
源流に濁山という山があったことから「濁川」と呼ばれたそうだ。

嘘か誠か、サントリーが「濁る」を嫌ったので「神宮」に改名したとか。
そりゃそーだよね。
ウイスキーや飲料を製造している工場の脇を流れる川が「濁川」じゃ困るだろう。

5、6年前だろうか?1月の神宮川本谷を訪れたことがあった。
「氷の王国」なんちゅうキャッチコピーに乗せられて・・・。
気の毒な同行者はA斎とmimosa。

踏み抜きに怯えつつ雪に埋もれた谷を進むも行程は捗らず、
時間切れ敗退となった。

2日の行程で20m前後の氷瀑を2本攀っただけの成果だった。
いや待てよ、もうひとつある。
サントリーで買い込んだウイスキーのロックが美味かった。
南アルプスの銘水の氷で飲んだからね。

アマゾンで買った3,800円のテントで2泊した。
居住性に問題はなかったけれど、いかんせん素材が安物なので、
テントの底がバリバリに凍ってザックに収めるのにひと苦労した。

そうそう。
沼田山岳会のK野さんパーティーに出会ったんだ。
K野さんとはグループ山想を通じた知り合いだ。
こんなところに来る物好きが他にもいるもんだなぁ、
とトレールを追っていたらK野さん一向だった。

林道のゲートを過ぎて右岸3本目がヤチキ沢だ。
林道は神宮川を渡るところで完全に流失していた。
2年前の12月に沢仲間と宴会した河原も荒れ放題だ。

ヤチキ沢出合
ヤチキ沢出合

入渓するとすぐ連瀑帯が始まった。
TVコマーシャルにあったな。
玄関開けたら2分でゴハン。
正にそんな始まり方だった。

落差5m前後の滝が比高にして80m以上連なっていた。
手掛かり足掛かりは豊富で、流れに沿ってぐいぐい攀じた。
水量はくるぶしが浸る程度だ。
木々の間から薄曇りの空が覘いていた。
気温はさほど高くないはずだが水の冷たさは感じなかった。
振り返るとひとつの大滝のように水が流れ落ちていた。

連瀑帯
連瀑帯

標高980mに5m滝があり沢は右に屈曲した。
太さが1.5mはあろうかという流木が落ち口から斜めに横たわっていた。
流木と右壁のすき間をすり抜けて滝の上に出た。
近くの梢で愛らしい野鳥の囀りが響いていた。

続いて4段20m滝を越した。
傾斜の強い4段目の登りがバランスを要した。

4段20m滝
4段20m滝

逆くの字に水を落とす8m滝を越すと、
右岸から流水のないルンゼを合わせ本流は左へ曲がった。
標高1,100mで左岸が大きく崩れ、押し出した岩が本流を圧迫していた。

標高1,140m。
遡行記録を読み地形図を眺めて疑問に思った地点だった。
地形図では正面の谷がはっきり描かれているのに、
遡行記録では皆ここで直進せずルートを右にとっていた。
実際に現地を観察してみたいと思っていた。

谷の正面はガレた流水のないルンゼ。
明らかに本流はトヨ状の滝12mを落として右に屈曲していた。
誰でも現地に立てば迷いもなく右に進むだろう。
地形図のみではルートが読めない実例だった。

トヨ状の滝
トヨ状の滝

疑問に思っていたところの地形図を示す。
地形図には正面のルンゼがはっきり読み取れるが、
滝を落として右折している本流は読みとれない。

ヤチキ沢地形図(標高1140m付近に注目)
ヤチキ沢地形図(標高1140m付近に注目)

標高1,190mで谷の正面に大きくハングした岩が見えた。
岩の基部で流れは落差10mの斜瀑となって右折していた。
滝の左が登れそうだが落ち口付近が陰になって見えない。
下手に取り付いて行き詰るとマズいなぁ。
やはり安全第一で行こう。
右の灌木帯を高巻いて滝上に立った。

ハング壁の滝
ハング壁の滝

斜瀑の上は左岸が微妙な傾斜のスラブとなった長さ30mの滑滝が連なっていた。
滝を巻いた判断は正しかったようだ。

滝上のスラブ
滝上のスラブ

標高1,200mで二俣となった。
谷が切り取る空の向こうに茅ヶ岳望まれた。
サントリーの工場の屋根も意外に近くに見えた。
我が家も同じ方向に見えるはずだが皆目見当がつかなかった。

茅ヶ岳
茅ヶ岳

左俣は8mの滝、右俣は長さ20mのトヨ状の滑。
下る予定の日向山北東尾根に近い左俣を登ろうと思った。
ところが落ち口へ抜ける2mが悪くて越せない。
確実な足場も手掛かりもなく、あと数10cm身体を上げることが出来ない。
相棒がいればショルダーで突破できるのだが単独の辛いところだ。
滝の直上は諦め、右俣から尾根を越えて左俣に戻ることにした。

二俣
二俣

苦労もなく小尾根を越えると、
先ほど奮闘した滝の上流に立つことが出来た。
細くなった流れの向こうにはっきりした踏み跡が続いていた。
標高1,250mだった。

北東尾根に楽に合流できることを期待して等高線沿いに踏み跡を辿った。
300mほど進んだところで踏み跡は谷へ下っていた。
あちゃ~、外れやんけぇ。

振り出し迄戻るのは嫌なので、100mほど戻り小尾根に取り付いた。
150mほど登れば北東尾根にトラバースする踏み跡に達せるだろう。
急な登りも出てきたが、
藪のない尾根を順調に登り標高1,500mで北東尾根の踏み跡合流した。

北東尾根
北東尾根

下草が生えていない尾根は下りやすかった。
しかし、下草がないと土が雨で流失してしまう。
根の浅い木はやがて倒れてしまうのではないだろうか?
山が荒れていくのは忍びない。

ミツバツツジが鮮やかに花盛り。
単調な下りを楽しませてくれた。

花盛り
花盛り

地形図では平坦な尾根と読めるが、
実際には両側が侵食され深くえぐられてナイフエッジになっている箇所があった。

えぐられた尾根
えぐられた尾根

北東尾根には標識布が殆どなく、
無駄な標識布やテープが散乱する昨今、気持ちが良かった。

下降ルートのポイントは、標高1240mと1,130mである。
この地点で下るべき尾根は明瞭でないので正しい方向を読む必要がある。

下降ルート
下降ルート

標高1,000mからトラバース気味に下り、
ゲートの手前の林道に戻ることが出来た。

林道に戻る
林道に戻る

日  程:2020年5月15日(金) 晴
参加者:まるめの
タ イ ム:
 神宮川駐車スペース 7:20--ヤチキ沢出合7:35
 --トヨ状の滝12m8:35--二俣9:15
 --北東尾根11:15~11:45--標高1,080m12:15
 --林道13:00--神宮川駐車スペース13:20

by まるめの

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